災害時のレクリエーション支援
 レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  まとめ・報告
レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ 

まとめ・報告

公開日
2020年9月8日
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2013.12.3 「3.11を振り返る」⑥
信頼関係を築いたあとに楽しさを提供できる
おおさきレクリエーション協会 浅野恵美


東日本大震災の発生後の4月から8月にかけて、美里町の南郷体育館は東松島市からの第三次避難の避難所となりました。ここで私たちが始めたのは、お茶セットを持ち込むこと。体育館の一隅につくられた共用スペースで茶筒や急須、湯呑み茶碗、湯こぼし、お盆を広げると、一人、二人と避難している人たちが集まって来ました。「お茶碗で飲むお茶が、すごく美味しい」と喜ぶみなさん。紙皿に紙コップでの食事が続き、陶器の温もりが嬉しかったのか、涙ぐむ方もいました。

透明なプラスチックのケースにお茶セットを入れて持ち込むと、カタカタと音がして、みなさんに気づいてもらえ、「今日も来てくれたの」と声をかけてもらえます。何日か続けていくうちに、お茶入れもみなさんにお願いするようになりました。すると、それによって〝仕事〟ができ、お茶入れをしてくれる方の友だちも集まるようになり、そこから〝お茶のみ会〟、〝サロン活動〟が始まっていったのです。

初めの頃のお茶の会では、みなさんが被災直後の体験を話すようになり、それをただただ聴いていました。2週間くらい経つと、避難所の生活が手持ち無沙汰でもあることから、お茶飲みの時に使う「お茶菓子入れ」を作ることになり、折り紙や千代紙を用意しました。「作っていると、いろんなことを忘れて夢中になれる」。作る手は止まらず、他の人たちの分も折り始めました。「何色がいい?」と、楽しそうに尋ねる様子。その当時は、配給されるものは選ぶことはできません。そんな中で、自分の好きな色や柄を選べることは、たかが折り紙ですが、とても新鮮な気持ちにしてくれたようです。こうして被災者の方々と信頼関係ができてくると、もっと動的なレク活動を楽しんだり、仙台大学のレク的な体操などによる支援活動とも連携できるようになっていきました。
 レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  まとめ・報告(1-1)


避難所でのレクリエーション支援

子どもたちへの支援も試みました。その当時は学校も始まっていたので、学校から帰ってきてからの学習支援が中心。それでも、最初はちょっとした遊びから始めました。まだ不安な気持ちが残っていて、特に低学年の子どもたちは私たちによくまとわりついてきましたので、じゃれ合って遊んだり、トランプや工作をしたり、スキンシップやコミュニケーションをとった後に、「そろそろ宿題やろうか」という具合です。

その中でも、絵本の読み聞かせやパネルシアター、ペープサートは子どもたちの気持ちを落ち着かせるのに効果がありました。落ち着きがなかったり、言葉や行動が少し乱暴になっていた子どもも、少人数で膝と膝をつけるくらいの近さで、ゆったりと絵本を読み始めると、現実から離れられるのでしょうか、じっくり話の中に入ってきます。段々とセリフやおまじないを子どもたちに言ってもらい、一緒に物語りを進めていくこともできました。

こうしたレクリエーションによる支援が、災害時は衣食住の次にくるくらい大事だということをことを、2003年の宮城県北部連続地震で私たちは実感していました。当時は夏休みの時期で、大人は自宅や地域の片づけなどがあり、どうしても子どもたちは避難所に置いていかれます。毎日、隣接する小学校の校庭で子どもたちを遊ばせるうちに、子どもたちは辛いことを口にせずに我慢していること、食事よりも全部を受け止めてくれる人を求めていることがわかりました。そして、避難所での支援は、信頼関係をどうつくるかが大切であることも経験しました。お茶や食事を共にすることはとても有効で、人と人のつながりを作ってくれます。それが先にあって、私たちの技術や楽しさを提供できたのだと思います。
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宮城県北部連続地震の翌年には、新潟県中越地震が起こり、私は小牛田町社会福祉協議会の職員として小千谷市に派遣されました。そこでの仕事は避難所でのニーズ調査でしたが、調査票のファイルの後ろに絵本を持って避難所の中をまわりました。絵本を見つけた子どもたちは、「おばちゃん、絵本持ってるの?」とブレーメンの音楽隊のように後をついて来て、避難所となった体育館の舞台横の階段で読んであげました。そうしたことができたのも、宮城県北部連続地震の経験があったからだと思います。レクリエーションによる支援活動は信頼関係の中でこそ生きてくるものです。これからも、被災された一人ひとり、またその地域に丁寧に寄り添いながら支援を続けていきたいと思います。
 レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  まとめ・報告(3-1)
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