たくさんお話を聞かせて頂き、ふと言葉が途切れたときに、「ちょっと身体を動かしてみませんか?」と声をかけます。にっこりして頂ける瞬間です。筋肉を強くする体操ももちろんありますが、私たちは、「息を吐くこと」「力を抜くこと」ができるアクティビティを選びました。ストレッチも有効でした。「息を吐く」、そのために冗談を交えて笑っても頂きました。
日常とは違った避難所の生活では「意識して」身体を使うことも大事でした。そこでは様々なゲーム等のアクティビティが活かされました。「グーパー」に代表される左右非対称動作を取り入れたゲームは、子どもからお年寄りまで笑顔で楽しんで頂けるものでした。
歌を歌うこともありました。時にはみんなで大きな声で、時には二人でつぶやくように・・・。4月、5月には、「ふるさと」を歌うかどうか迷った時期がありました。ある避難所で思い切って歌って頂いたとき、「いい歌だね」としみじみされ、「この辺は震災前には…」と話し出された方々を見て、ほっとしたこともあります。
避難所にいる子どもたちとの交流は、被災県に住み、若干なりとも落ち込んでいた私たちを元気にしてくれました。バルーンクラフトや折り紙、絵本や紙芝居の他、会場の条件が許せば、スポーツ系のレクリエーション用具「ルームラング」「ブーメラン」や「ドッヂビー」、「忍者ランド」なども持ち込みました。汗びっしょりになるまで遊んでくれますが、子どもたちはシンプルな遊びが好きです。子どもたちと遊んだ中で一番印象に残っているのは「ケンケンパー」でした。
6月頃から、コーヒー・ハーブティーのコーナーとネイルケアのコーナーを準備したところ、たくさんの皆様にお役立て頂くことができました。これらもレクリエーション支援の一つとして提供させて頂いたものです。
レクリエーション支援というと、「みんなを集めて」「ゲームや体操を」「一斉にやるもの」と思われがちですが、一人ひとりに寄り添い、心を通わせ、思いを受け止め、「心地よい時間」を共有することこそ、本当のレクリエーション支援だと私たちは考えました。豆を挽くところから、時間をかけてコーヒーを入れたり、湯温を調整しながら心を込めててハーブティーを入れたり、手をとって爪の手入れをさせて頂きながらのお話は、避難している方々の心にたまった澱を洗い流す効果もあったようです。
7月からは仮設住宅への引っ越しが始まり、8月からは仮設住宅訪問が開始されました。現在、私たちが毎月行っている県内5カ所の仮設住宅訪問も、早いところは3年目に入ります。レク協会自体の事業に加え、他からも支援活動の依頼を頂くケースも増え、同日に4~5事業が重なることも希ではありません。スケジュールの調整に苦労していますが、被災した方に誠実な活動として続けていくため、仮設住宅訪問の年間スケジュールを決め、顔がわかる誰かが必ず都合をつけて、活動に穴を開けないようにしています。
是非みなさんも、仮設住宅に移行した避難者の方々へのレクリエーション支援にご協力ください。
レク支援を行うためにも、また生活を心地よくするレク支援の一環として、トイレ掃除や食事の配給などの生活支援も重要な意味を持っていました。