災害時、仮設住宅等には避難生活を支えるために生活支援相談員やサポートセンターが設置されます。被災者の孤立化を防ぎ、認知症予防や介護予防に取り組んだり、健康状態を改善するための支援も行います。そうした支援のなかで、レクリエーション支援のノウハウが活かされました。
生活相談員は、介護福祉士などの福祉関係者が就くこともありますが、多くは被災者のなかから採用されます。仮設住宅での孤立や孤独死を防ぐことが大きな任務で、全戸を訪問し、見守りの必要な高齢者には定期的な訪問を続けます。そして、集会所等で茶話会などを行い、外に出ることや仲間と交流することを促します。「一人でも二人でも、外へ出る、一歩を踏み出すきっかけになれば」と、歌や軽体操、マッサージなど、いろいろ新しいプログラムを準備します。そうした楽しい活動をしながらのほうが、話がしやすくなり、どんな支援が必要なのかを考える機会にもなるといいます。
避難生活が長引くにつれ、生活の変化から運動不足となり、体力的な衰えが多くの被災者の共通の課題となり、例え少人数の参加であっても、レク活動を通して想いを受け止め、外に出てきてもらう支援が大切になっていきます。
サポートセンターは、地域によっても役割が異なりますが、認知症予防や介護予防を目的としたセンターでは、歌に合わせた体操や身体を動かすゲーム、クラフトなどの健康づくりのプログラムを毎日のように行います。介護の仕事の経験がないスタッフが多いなかで、レクを一緒にやることで、高齢者の反応にあわせて声をかけたり、手助けができるようになったり、「やってあげよう」という意識から「やり過ぎず、待つことがリハビリにもなる」という感覚も持つことができるようになるといいます。また、人と話すことが苦手だったスタッフがコミュニケーションをとれるようになったり、認知症への対応も上手になったといいます。
楽しさを通して、元の生活に戻るためのリハビリも行われました。市街地のショッピングセンターに出かける機会を定期的に設けることで、外に出る習慣ができ、服装などの身嗜みにも気を遣うようになったといいます。また、料理をみんなでつくり、集まった人たちに振る舞い、喜ばれたことが生きがいになったという例。買い物を自宅での調理の機会に結び付けながら、少しずつ生活の自立を促した例もありました。
生活支援相談員やサポートセンターには介護や医療との連携といった役割がありますが、日々の生活の中では楽しさを活用した閉じこもり防止や健康づくり、リハビリが行われます。スタッフの育成も含めて、レクリエーションとの連携も強くなっています。