東日本大震災で津波の被害を受けた被災地では、公園やグラウンドといった子どもたちの遊び場も流されてしまいました。歩道も整備されない街中をダンプカーが走るため、子どもたちが歩いて友だちの家に行くことも許されません。公園などもない人里離れた場所に仮設住宅が設置されたり、学校の校庭にも仮設住宅が建てられるなど、「子どもが遊べるのは駐車場くらい」といったケースも少なくありませんでした。福島県では放射能の影響で外遊び自体が制限されました。
こうした状況のなかで、「悪いとわかっていてもゲームで遊ぶのを許してしまう」というお母さんたちの声をよく聞きましたし、その結果、被災地の子どもの体力低下や肥満傾向が報告されるようになりました。長期化する避難生活での子どもたちへのレク支援では、次のような伸び伸びと身体を動かせるような機会・場の提供が行われました。
1.あそび場の提供
福島市では月2回、市内の小学校の教室、体育館を利用したあそび場の提供を行いました。外遊びが制限されるなかで、子どもたちが安心して体を動かせる機会の提供となりました。福島県内では、行政が室内の遊び場を設置・提供するケースもあり、災害時にあそび場を提供する必要性が広く認知されるようになりました。
2.デイキャンプ、キャンプの実施
遠野市では、春から秋にかけて被災地の子どもたちを招いたデイキャンプを実施。岩手県、宮城県、福島県でも、少年自然の家等を活用して夏や冬に子どもたちのキャンプを実施しました。
3.スポーツ・レクリエーション大会の開催
女川町ではスポーツ・レクリエーション祭を開催しました。久しぶりに親子で身体を動かす機会となったほか、こうした町の行事が行われることが復興の兆しを感じる機会にもなったと言います。また、いろいろなニュースポーツ種目の普及団体が関わっての支援活動となりました。
4.保育園や幼稚園等の運動プログラムの支援
子どもの運動不足解消、体力アップという視点から、保育園や幼稚園から運動プログラムの提供を依頼されることも多く、災害時の大事なレク支援活動となっています。
こうした支援活動で共通して求められるのは、一斉にみんなが動いて、遊べるプログラムでした。体育の時間の跳び箱のように、順番を待っている時間が長くなるようでは、子どもたちも飽きてしまいますし、運動量も稼げません。本号特集で紹介した集団で遊べるゲームをできるようにしておくことや、忍者ランドやチャレンジ・ザ・ゲームの種目を組み合わせて遊びのサーキットをつくることも有効でした。女川町のスポレク祭では、3B体操の皆さんが、用具を組み合せてトンネルなどの仕掛けをつくっていました。そうした子どもたちの体の動きを引き出す工夫も、日頃から考え、試していけると役立ちます。