災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.665 (2015年10月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.45
Recrew No.665 (2015年10月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.45

公開日
2020年8月8日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
気がつけば47回目の訪問。
丸4年が経ちました


NPO法人福島県レクリエーション協会

相馬市にある大野台第六仮設住宅は、飯舘村に住んでいた方が避難している仮設住宅です。今回で、丸4年、47回目の訪問となりました。10時近くになると、ぞくぞくと集会所に集まってきます。
「熱いの、冷っこいの? どっちにする?」、スタッフが参加者一人ひとりにオーダーを伺い、まずは一服、世間話に花が咲きます。そうしているうち、いつの間にか20人近くが集まってきました。
時間になったところで、引地陽子さんの挨拶からスタート。グーパーの手遊びを行います。前に出す手を天井に向かって伸ばしたり、「♪うさぎとかめ」の歌にあわせたり、徐々に難易度をあげていきます。
「『♪あんたがたどこさ』の『ちょいとかぶせ』って、飯舘では〝かくせ?〟〝かぶせ?〟どっちを言う?」
「小さい時、毬つきでやって、〝かくせ〟ってやったよ~」、と毬をお腹に隠すポーズをする方が。「じゃあ、〝かくせ〟で歌いましょう」と歌を練習し、リズムに合わせて足ぶみを行いました。足踏みと一緒に両手を振って、さらに、歌詞の『さ』のところで、足踏みする代わりに膝を伸ばします。最後の『ちょいとかくせ』で両膝を伸ばし、1・2・3とカウント。腹筋や両腿を刺激し、ちょっとしたトレーニングになります。その後も、水戸黄門の主題歌「ああ人生に涙あり」を歌ったり、歌詞をどんぐりころころに替えて歌ったりしました。
それを引き継いだ石渡弘美さんは水戸黄門のクイズからスタート。初代の俳優や、一番新しい俳優などドラマからの出題です。クイズに正解するとお手玉が1個ゲットでき、その後、2人組でお手玉遊びを行うと、すでに1時間ほど経過していました。
「歩くより汗かくわ」「あー疲れた。暑い、暑い」とみなさん。体を動かしながら大笑いしているせいか、運動量もかなりあるようです。休憩後も、3チームに分かれての的あてゲームなどを行い、みんなで楽しい時間を過ごせたことを喜んでいました。
飯舘村では村外での復興住宅の建設が進んでいますが、住民のみなさんには今の仮設住宅のコミュニティを失いたくないという思いや、仲間になった人たちと離れることへのためらいもあり、仮設住宅での避難生活はまだまだ続きそうです。

長期化する避難生活での高齢者の生きがいづくり

仮設住宅での高齢者の支援では、まず運動不足やストレスの解消が大きな課題となります。その一方で、避難生活が長期化していくなかで、生きがいづくりや新たなコミュニティづくりに向けた支援活動も必要となります。また、閉じこもりがちになる気持ちを外に向かわせたり、元の生活に戻っていくためのリハビリも、レクリエーション支援として行うことができます。被災地でこれまでどんな支援活動があったのか、振り返ってみます。
1.歌の集い
今回の震災では、毎月1回、歌を歌う集いが続いています。大きな声を出してもらうことと、そこで交わすおしゃべりや交流が参加するみなさんの楽しみになっています。身体を動かすことが苦手な方にも参加してもらいやすい活動です。
2.買い物
ショッピングセンターなどに買い物に行くことをレク活動の一つに取り入れた例もありました。外に出る機会をつくることで、身だしなみを気にしたり、表情も明るくなるといった効果もあります。また、自分の食べたい物の材料を買って、その日は料理もするようにして、生活能力を維持する機会にした例もありました。
3.物づくり
ニュースポーツなどレク用具を使ったゲームは、とても参加者を惹きつけます。しかし、狭い集会所や談話室で楽しめるように、遊び方、ルールなどを工夫する柔軟さがいつも必要です。
4.農園づくり
仮設住宅の近くに農園をつくることも、被災者が毎日外で身体を動かし、そこでの会話や交流を楽しむ生きがいづくりにつながりました。また、農園で必要となったベンチや柵、ちょっとした小屋などをみんなで作ったり、収穫した物を分け合ったり、みんなで食べたりと、コミュニティづくりにもつながりました。
5.交流の機会づくり
いろいろな地域から集まってきた仮設住宅では、当初、なかなか交流の機会をつくることができない時期もありました。そうした時に、レク協会が忘年会や新年会など、季節の行事などを支援し、住民の交流の機会をつくりました。
6.食事づくり
集会所での支援活動の際に、食事づくりを活動の中に入れたケースもありました。仮設住宅の台所は狭く、あまり料理をしなくなる傾向があり、予想以上に料理をする腕が鈍るといいます。その地域に伝わる料理を教えてもらうという形で食事づくりをすることが、元の生活に戻っていくためのリハビリにもなりました。
7.お祭りの復活
食事づくりと同じように、その地域の文化を教えてもらう活動を通して、盆踊りを教えてもらったことがきっかけとなり、仮設住宅で盆踊りを実施することになったケースもありました。

こうした、ともすれば閉じこもりがちになる気持ちを外に向けたり、交流を促進したり、生活のリハビリを促すことは、仮設住宅等の生活支援としては手が回りにくい部分でもあり、そこをカバーすることもレク支援の役割です。
 Recrew No.665 (2015年10月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.45(2-1)
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