大勢の人たちが生活する避難所では、お互いに気を使いながら静かな雰囲気が保たれています。そんな中では子どもたちが遊んだり、走り回ったりすることも「迷惑になるから」と止められてしまいます。「静かにしてくれるから」とゲームを渡したと話すお母さんもいました。しかし、心の中では「子どもたちを伸び伸び遊ばせたい」と思っており、子どもたちへの支援は、受け入れてもらいやすい活動です。
また避難所では、大人たちは災害への対応や生活を維持するための仕事があり、その間、子どもたちを見守る支援活動が必要とされます。さらに、災害により受けたストレスをケアするために、レクリエーション活動を通して仲間とふれあい、一体感を感じ、そうしたなかで自分の気持ちを表す、そんな機会が有効ともいわれています。
東日本大震災の避難所での支援活動から、どんなレク活動が有効だったのか振り返ってみます。
1.昔遊び、わらべうた
被災した公認指導者が、被災後すぐに避難所で子どもたちへのレク支援を始めました。最初は、何もなくても楽しめるレク・ゲームや、昔遊び、わらべうたなどをしました。
「かごめかごめ」をみんなで遊んだり、支援物資が届き始めると、物資の入っていた段ボールでメンコを作ったり、ヒモを使ってあやとりもしました。昔遊び、わらべうたも、そうした視点からも身につけておきたい活動です。
2.絵本の読み聞かせ、クラフト
ある公認指導者は、避難所の支援活動をする際に絵本を持っていきました。被災者の間を回っていくうちに、子どもたちが絵本に気づき、後をついてくるようになり、避難所の片隅で読み聞かせを始めました。それがきっかけとなり、共有スペースでのレク支援にもつながりました。あるレク協会は、避難所となっている公共施設の一角に絵本やクラフトなどを並べたブースを設けました。特に、就学前の子どもたちの支援に役立ちました。
3.チャレンジ・ザ・ゲーム、軽スポーツ
小学生になると、とても活発な活動を好みます。大なわとびやキャッチング・ザ・スティック等のチャレンジ・ザ・ゲームの種目、ディスゲッターなどの軽スポーツもよく行われました。チャレンジ・ザ・ゲームのように、仲間とのふれあいがあり、リズムにのって声を出す活動は、子どもたちのストレスを軽減してくれます。ただし、子どもたちの年齢や熟達度にあわせて、遊び方やルールを易しくするなどのアレンジする力が必要です。
4.デイ・キャンプ
甚大な被害を受け、瓦礫に囲まれた避難所の子どもたちを、ほんの一時でも自然の豊かな所に連れ出そうというデイ・キャンプも実施し、とても被災地からのニーズの高い活動となりました。一方で、単にレク活動を提供するだけでなく、避難所と会場となる施設、その間を結ぶバスなど、いろいろな手配・調整をするマネージメント力が必要となります。
こうした避難所での支援活動は、避難所の管理者、災害ボランティアセンター(社会福祉協議会)と連絡をとって行います。また、災害のために大きな心的なストレスを抱えた子どもに出会うこともあるので、そうした場合の対応について専門家からのアドバイスを聞く研修などを事前に行うようにしましょう。