災害が発生した時、被災者の救助やライフラインの確保などが最優先され、被災者支援とレクリエーションを結びつけることは難しいものです。深刻な被害を受けた状況のなかでレクを行うことへの違和感もあるでしょう。しかし、東日本大震災被災地では、甚大な被害を受けた被災地で被災者の話に耳を傾けたり、ストレッチや歌に合わせた体操をしたり、子どもたちの遊び相手になったりと、レクを通した支援をする公認指導者、地域レク協会の姿がありました。そうした経験から、レク支援を行う際のポイントがいくつか見えてきました。
1.災害時のレク支援を意識していること
避難所では高齢者の生活不活発病の予防や子どもたちのストレスケアが大きな課題となり、そこでレク活動が有効なことはずいぶんと理解されてきてきました。当然のことですが、レク活動で支援できることを意識していたことと、「何かしなくてはいけない」という思いが、初期の段階での支援活動に結びついています。
2.一般の災害支援ボランティアから始める
初期段階から活動した公認指導者は、災害前からのつながりが被災者との間にありました。サークル活動や健康づくり教室などの仲間を支えたい。こうした地域のつながりはとても有効です。そうした関係がない場合、一般の災害支援ボランティア活動に加わり、災害支援関係者や被災者とのつながり、信頼関係をつくり、そのうえでレク支援活動を始めることが有効でした。
3.社会福祉協議会との連携
被災地では社会福祉協議会が支援活動の拠点として災害支援ボランティアセンターを設けています。初期の段階ではレク支援について避難所等との調整をする余裕はありませんが、避難所の状況、ニーズを把握しており、的確なアドバイスをもらうことができます。また、レクによる支援活動を行っていることを知っておいてもらうことで、被災地のニーズとつなげてもらえることもあるので、社会福祉協議会との連携は不可欠です。
4.レク協会という組織で動く
いろいろな人たちが支援活動に入る被災地では、被災者からの信頼を得るために身元をはっきりと示すことが求められます。そのためにも都道府県や地域のレク協会という組織に所属して活動することが大切です。また、個人よりも組織のほうが社会福祉協議会等と連携する機会も多くなり、被災地での安全管理もしやすくなります。
5.被災地周辺の地域レク協会の役割
被災地のレク協会、公認指導者は、被災や生活に関わる支援活動などで、すぐにレク支援活動を行えない状況となります。初期段階でのレク支援は、被災地周辺の地域レク協会、当該地域または隣接する都道府県レク協会が大きな役割を担うため、日頃より高齢者の健康づくりや子どもたちに遊びを提供する事業などを行い、ノウハウを持つ人材を増やす準備が必要です。
6.安全管理
被災地では、瓦礫の釘を踏み抜くといった思わぬケガや粉塵を吸い込んでしまうようなリスクもあります。また、発災直後は、信号も点かず、路面のひび割れ、冠水など道路の状況も悪くなり、思わぬ事故に遭う可能性も高くなります。支援活動を行う際には、そうした一つひとつのリスクを確認する必要があります。