この20年間、阪神・淡路大震災、中越地震、宮城県北部連続地震、そして、東日本大震災などの大きな災害が発生し、その地域のレクリエーション協会や公認指導者が被災者を支援する活動に取り組んできました。当初、こうした災害時でのレクリエーションによる支援活動の必要性は、避難所での活動を申し出ても断られるなど、それほど認識されていませんでした。そうした状況下でも、公認指導者のみなさんの地道な活動が続けられ、また、避難生活の中で生活不活発病を防ぐことが大きな課題となるにつれ、レクリエーションによる支援(以下、レク支援)活動の必要性が認められるようになってきました。
東日本大震災のような広範囲にわたる災害では、避難所では子どもや高齢者、障がい者のケアになかなか手がまわりません。公園などの遊び場もなくなった地域、放射線の影響で外遊びが制限された地域では、子どもたちがストレスをため、狭い仮設住宅での生活では誰もが高齢者の運動能力の低下を心配しました。
そうしたなかで、レク支援活動へのニーズは高く、災害ボランティアセンターには、子どもの遊び相手や高齢者の話し相手を求める掲示があったり、避難所に子どもたちの支援に行った時に高齢者の支援も頼まれることもありました。東日本大震災から4年間が経過した現在も、被災地でのボランティア活動が減少していくなかでレク支援活動が継続しています。
これまでの活動を通して、レク支援には大きくは4つの良さがありました。
1.場所や用具がなくても支援できる
被災直後の避難所は、支援物資などでスペースもなく、また、運動のための用具もありません。そうした状況でも、共有スペースの片隅などで、わらべうたや昔遊び、歌にあわせた体操や避難所にある椅子、座布団、タオル等を使った運動やゲームで支援ができました。
2.無理なく身体を動かせる
最初は話をしたり、手指の運動やよく知られた歌を歌ったり、それに合わせて身体を動かすことからはじめました。レク支援は、足腰が悪かったり、今後の生活への不安感から身体を動かす気持ちになれなかったり、消極的な人にも、無理なく自然に身体を動かしてもらうことができました。
3.気持ちを元気にする
周りに気を使うことが多い避難所や仮設住宅の生活では、レク支援の機会に話をしたり、大きな声を出したり、仲間とふれあったり、笑うことで気持ちが晴れるといった感想が一番多く聞かれました。
4.受身でなく主体的になれる
レク支援では、体操や歌、ゲーム、軽スポーツなどを被災者のみなさんが楽しみます。そのなかで、仲間を応援したり、励ましあう場面も多く、被災者のみなさんが受け身ではなく、主体的に行っている実感が持てます。
こうしたレク支援活動によって、参加する人たちが、「明るくなった」、「今年はカゼをひいていない」、「行動的になった」といった効果も、サポートセンター等のスタッフが感じています。その他にも、子どもたが楽しみながら身体を動かすことや、モノづくりを通した生きがいづくり、仮設住宅でのコミュニティづくりなどでもレク支援活動が役立ちました。
このコラムでは、これまでの支援活動を振り返り、今後、災害が起こった時にどんな準備が必要なのか、災害直後、避難所、仮設住宅など時系列で振り返ります。また、サポートセンターや生活支援相談員との関わりや、支援体制という視点などから考えていきます。