第68回全国レクリエーション大会が、9月19日から21日にかけて被災地である福島県にて開催され、20日には研究フォーラム「災害時のレクリエーション支援︱長期化する避難生活の支援・今後の災害に備えた準備」が行われました。パネラーに福島県レク協会・佐藤喜也さん、宮城県レク協会・金義信さん、岩手県大槌町の公認指導者・三浦千秋さんをむかえ、東日本大震災の発災から3年半が経過したこれまでの支援活動の評価や課題、今後の災害への準備などが話し合われました。
これまでの支援活動について佐藤さんは、「発災直後の避難所では、いわゆるレク活動はできないことが多かった」としながらも、お茶を入れて一息ついてもらったり、不安な気持ちやいろいろな話を聴いたり、避難生活に寄り添いながら支援ができたとし、「こうした生活をより良く、豊かにしていくというレク支援は、普段のレク活動の中ではあまり行われないが、避難生活の支援だからこそ実現できたと思う」と振り返りました。
三浦さんは大槌町での支援活動を振り返り、「被災地では泣くことも笑うこともできない時期もあり、そんな中でレク活動に参加して身体を動かして、話をしたり、ふれあうことは、みんなと想いを共有でき、気持ちを晴らしてくれる効果があった」と話しました。
金さんも、避難所や仮設住宅でのレク支援が、身体を動かし、気持ちも晴らし、仲間づくりにもなることが医療関係者からも認知されていることを紹介。「これまでレクリエーションの役割や効果というのは曖昧な面もあったが、支援活動を通して身体的、精神的、社会的な役割・効果があると言えるようになった」と話しました。
支援活動での課題については、佐藤さんは一人でも多くの公認指導者が関わるためにも、基礎的なゲームや歌などのアクティビティを身につけ、「実技力をアップすることが大切」と提起しました。三浦さんも、大槌町に設置されているサポートセンターでの経験から、公認指導者だけでなく仮設住宅などに関わる支援者がレクのスキルを身につけることで、被災者の生活が変わることを指摘。福島県では、生活支援相談員を対象としたレク研修も行われていることが紹介されました。また、宮城県レク協会の支援活動担当者が、愛媛県の防災訓練の中でレク支援を行った時のビデオも紹介され、今後の災害に備えて、支援プログラムを創り、それを身につけた支援者育成などの準備が必要なことが確認されました。
一方で、現在の被災者について、大槌町でも宅地の造成にまだ時間がかかる状況で仮設住宅等での避難生活が数年続くことや、福島県では避難地域に戻れる見通しも立っていないことから、「帰れるまで、元気でいられるだろうか」といった不安や、「もうこのままでいい」といったあきらめの気持ちも強くなっている様子が伝えられました。こうした状況に対応するために、県と市町村レク協会の支援体制をもう一度つくり直すことや、被災地で人材養成を行い、そこから地域レク協会をつくっていくことなど提案されました。これを受け、金さんからはレク支援が人と人のつながりをつくり、個人のニーズを地域や公的機関につなげる役割もあったことから、災害時に支援活動の中心となる社会福祉協議会と連携した体制づくりをすることも提案されました。