愛媛県教育委員会は、想定されている南海トラフ巨大地震や、近年各地で頻発する豪雨災害に備えるための「青少年防災キャンプ(平成26年度文部科学省委託事業「体験活動推進プロジェクト」)」を、8月1日から2日にかけて実施。新居浜市高津公民館を避難所に見立て、地域の小学生、高校生ボランティア、消防団、老人クラブ、自治会、PTAなどの関係者約70名が、避難所運営のシミュレーション、液状化や放射能についての学習、着衣泳や炊き出し、床に段ボールを敷いて寝る体験などをしました。その中で、1日の夜と2日の朝の2回、レクリエーションによる支援について学ぶ時間も設けられ、東日本大震災の支援活動に取り組む宮城県レク協会の山内直子さんが招かれました。
1日目は、避難所を想定したレク支援です。最初に伝えられたのは、大勢の被災者が集まる避難所は、子どもたちが走り回ったりできず、大人もまわりへの気遣いからストレスをためやすいこと、そうした状況でも、エコノミークラス症候群の予防や気持ちを前向きにするために身体を動かすことが大事であるということ。スペースも限られ、道具もない避難所ではレクによる支援が効果的で、みんなで身体を動かし、声を出し、笑ったりふれあったりする機会が、ストレス軽減に役立つことが説明されました。
その後、避難所と同じように子どもと大人が入り混じった状態をつくり、拍手を使ったゲームが始まりました。「男の子」「女の人」といった言葉に、当てはまっていると思ったら手を叩きます。「元小学生」などの言葉に間違えて手を叩いたりするうちに、笑いとともに雰囲気が少しずつ和んでいきます。慣れてくると、手を叩く回数を増やしたり、「ハイ」と声を出しながら叩きます。最後は全員が、声を合わせて手を叩きました。
「こんなふうにみんながニコニコして、声を出してくれるようになることが、避難所での支援では大切なのです」と山内さん。その後も、歌やジャンケンなどを織り交ぜた道具を使わないゲームや、グループごとに手をつないでのゲームなどが行われ、短い時間でしたが、無理なく雰囲気を和らげ、声を出しながら身体を動かし、人と人のふれあいをつくるレク支援の例を見せてくれました。
2日目は、仮設住宅などでの生活不活発病の防止をテーマにしたレク支援でした。最初に、みんなの知っている歌に合わせて、手首や腕の運動、スクワット、身体の捻りなどを行う体操、脳トレと足のステップを合わせた運動の例を体験。そして、避難生活の中に必ずあるタオルを使った運動を始めました。タオルを丸めて握力の運動をしたり、片側を結んで投げ、キャッチする時に低い姿勢になったりすることで、足腰の運動を促します。さらに、仮設住宅の集会所にある折りたたみ椅子を的にして片側を結んだタオルを投げ、椅子に乗ったり、引っかかった数を競う運動遊びや、やはり集会所にある座布団を9枚並べ、丸めたタオルを投げて、ビンゴをつくるアクティビティも紹介されました。
参加者からは、「学校でも友だちとやって、災害の時にできるようにしたいです」、「避難所でも、みんなを笑顔にすることが大切だと思いました。みんなとわかりあえてよかったです」といった感想が聞かれました。