3月8日、宮城県レクリエーション協会は、これまでの震災支援活動の成果をまとめ、レクリエーション支援にかかわるボランティアや関係者の今後の活動を促進するための「災害支援レクリエーションフォーラム」を開催しました。
釜石市平田第6仮設団地は、一般の世帯とケアの必要な高齢者が住むエリアが分けられ、子育てゾーン、高齢者が運動するスペースも設けられているほか、サポートセンターや商店の集まるエリアも併設されるなど、ハード面がよく整えられている仮設団地として注目されています。
サポートセンターに伺うと、長引く仮設住宅での生活にも関わらず、健康状態が悪化している高齢者はなく、反対に健康状態が改善している方もおり、アルコール依存などの問題も出ていないとのことでした。そうした背景にはハード面の配慮も確かにあり、ケアゾーンの仮設住宅の間(通路)に屋根が設置されたことにより、住民同士がお茶会や食事などをする機会が増え、高齢者の閉じこもりを防いでいたのです。
一方、サポートセンターの機能も高齢者の健康維持に大きな役割をはたしていました。ここはデイサービスに加えて、高齢者が自由に集まれるサロンとしても機能し、週一回の健康教室やレクリエーションのほかに、定期的な健診、血圧管理なども行われています。そうした中でも特に力を入れているのが、訪問による細かな見守り活動です。24時間体制でスタッフが常駐することを生かし、日中に会うことができなければ、夜、「部屋に明かりがついたから、話をしにいってくる」といった具合に、その人の生活時間に合わせてコミュニケーションをとっています。
心が弱くなっている時に住民同士のトラブルが起きたり、ちょっとした誤解で「疎外されている」と感じるなど、仮設住宅での生活では精神的なケアがとても大切となります。訪問活動によって「いつもと違うところ」に気づくことが、そうしたケアの入り口になっているそうです。スタッフが高齢者の認知機能の衰えに気づくと、送迎付きの買い物に誘い出します。そして、その日は自分で料理をする。自分で見て、動きながら買うことは本人にとっても楽しみな活動となり、認知症予防にも効果があります。そうして、できることを増やし、習慣化していくサポートにもつなげているのです。
こうしたサポートができるのも、日々の訪問を通した信頼関係があるからこそ。買い物の時には、その人の冷蔵庫の中も把握して献立を提案するなど、一人ひとりへの個別のサポート方法が考えられていました。それは、センター長の上野孝子さんが「ケアプランよりも細かい」と言うほど。こうしたサポートにより、高齢者施設への入居を考えていたご夫婦が「ここでなら暮らせる」と再び生活を維持することができるようになったり、全般的に高齢者の健康が維持されているからか、仮設団地に来る救急車の台数も減ったそうです。
「いつもと違うところに気づくことが大事」。サポートセンターの開設当時からスタッフのみなさんが共有している姿勢が、平田第6仮設団地の高齢者を支えていました。