福島第一原子力発電所の事故により計画的避難区域となった飯舘村。その飯舘村の住民が暮らす相馬市大野台第6応急仮設住宅で、福島県レクリエーション協会の支援活動が2011年8月から毎月続いています。
9月29日はレク・インストラクター受講生の米谷武子さん、相馬市に住む公認指導者の後藤正子さんも参加しました。相馬市レク協会は主に種目団体で構成されていましたが、大野台仮設住宅での支援活動がきっかけとなり、公認指導者のクラブもつくられています。
この日の始まりは午後1時30分。1時過ぎるとみなさんが集まり、お茶を飲みながらのおしゃべりが始まりました。毎月顔を合わせているため、スタッフとも打ち解けていて、午前中に家畜の世話で飯舘村に行ってきたことや、最近の村の出来事、体調など、いろいろな話を聞くことができます。
時間になると、米谷さんが最初のゲームをリードしました。鼻と耳に添えた手を左右入れ替えるゲームです。初めは簡単な動作から始まりましたが、右手で左耳に触れたり、テンポも速くなり、段々に難しくなっていきます。最後は「ウサギとカメ」を歌いながら両手を動かしました。みなさんも真剣な表情。そんな時に米谷さんが動作を間違えました。すると、みなさんの肩の力も抜け、緊張も一気にほぐれました。
続いて石渡弘美さんのリードで身体を動かしました。円形になり、リズムに合わせて左右の人の肩をたたきます。左右8回ずつから始まり、4回、2回、1回と動きが忙しくなっていき、動作に慣れてきたところで、また歌を歌いながらやってみます。次は膝をたたくゲーム。これも段々に動作が複雑になり、隣の人を越えてその隣の人の膝まで手を伸ばします。「もうちょっと小さくなろう」と自然と声が出て、みなさん座っている輪を小さくしました。しかし、ゲームが進むにつれて「暑くてダメだ」、「もうちょっと広がっぺ」と元の輪の大きさに。「遊びだけど、こんなに身体が温かくなるんだね」と話す声も聞かれました。
原発事故により避難する飯舘村のみなさんは、他の被災地とは違った困難さを抱えています。飯舘村の家に戻りたいという方は、高齢者を中心に多いのですが、それがいつになるかわからない「先が見えない不安」があるそうです。福島県レク協会のスタッフとも打ち解け、いつも明るく接してくれる、大野台第6応急仮設住宅のみなさん。しかし、明るく振る舞いながらも、ふとした時に「もとには戻らない」、「心の傷は消えない」という気持ちを話してくれます。こうした気持ちに寄り添いながら、福島県レク協会の支援が続いています。