遠野市レクリエーション協会の被災地の子どもたちを支援する2年目の活動が始まりました。同協会では、津波の被害を受けた大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市の子どもたちに、遠野市の豊かな自然環境の中で思いきり遊んでもらう支援活動を、震災の1ヵ月後から展開。昨年度4月~10月にかけて行った17回の活動を通して、550人の子どもたちや親子を支援しました。
今年度は6月7日、釜石市立唐丹小学校の児童21人を招き、活動が始まりました。翌日の6月8日、大槌町立吉里吉里小学校の児童が遠野市の柏木平レイクリゾートを訪問。1年生から4年生までの77人、引率の先生8人の合計85人が参加するため、遠野市レク協会をはじめ盛岡市レク協会、滝沢村レク協会から20人のスタッフが集まり、遠野まごころネット(地元のボランティア・ネットワーク)からも24人のボランティアが派遣されてきました。
芝生の広場には、バンブーダンス、リングキャッチ、大縄跳び、輪投げ、ディスゲッター、ステップマットのコーナーが準備されました。子どもたちにはポイントラリーのカードが配られ、それぞれの種目を回っていきます。
フライングディスクで9つの的を射抜くディスゲッターや、3つのリングをまとめて投げ合うリングキャッチなど初めてチャレンジする種目に、子どもたちはワクワクしている様子。0から9までの番号が書かれた円形のマットを散らばらせて置き、番号の順に走ってマットを踏んでいくステップマットは、一度やると息が切れるほどですが、男の子たちはタイムを競って、何度もトライしていました。
大縄跳びも、友だちと一緒に飛ぶとなかなか続きません。「20回は飛ぶから」と目標を定めて挑戦する子どもたち。バンブーダンスも、最初はステップを覚えるのが精一杯でしたが、何度も挑戦するうちに上手になっていきました。一通り挑戦が終わる頃には、みんな「暑い、のどが渇いた」と、水を飲みに走るほど。
この他にも用意されていたのが、ボールやプラスチックバットなどのスポーツ用具。子どもたちは、ボランティアに「ドッジボールやりたい」などと声をかけ、芝生の広場のあちこちでサッカーやバレーボール、野球などを楽しむ輪ができました。「息ができないくらい走ったよ」、「芝生が気持ちいい」と子どもたち。みんなお風呂上がりのような汗をいっぱいかいた顔になっていました。
震災から1年が経ち、子どもたちも落ち着いてきているように見えますが、大変な経験をした傷はまだ癒えず、「子どもたちは忘れようと心がけているのではないか」と吉里吉里小の栗澤弘校長先生。津波で流された街の跡や海を見ると震災を思い出し、ちょっとしたことで涙もろくなる時があるそうです。また、地域の遊び場がなくなったり、登下校の時の寄り道などもできなくなったりして、「日常の中で子どもらしさが保障されていない。そうした状況のなかで、子どもたちが自然豊かな場所で、思いきり汗をかいて遊ぶことがとても大切」ともお話しくださいました。
被災地の小学校では、プレハブの仮設校舎(前日の唐丹小学校)や校庭に仮設住宅が設置されたり、耐震補強の問題で体育館が使えない等の状況が続きます。伸び伸びと身体を動かし、思いきり遊ぶ機会を子どもたちに提供するために、遠野市レク協会の2年目の支援活動が続きます。